オフィス移転には総務タスクが最重要!手続き・作業を一から全て解説
オフィス移転に伴う総務部門の業務は多岐にわたります。「具体的に何をすべきか」「どの順序で進めるべきか」といった疑問に答えるため、本記事ではオフィス移転時の総務部門のタスクを解説します
記事の最後で、オフィス移転時に活用できる「やることチェックリスト」もダウンロード可能です。オフィス移転は総務部門の進行管理があってこそ成り立つと言っても過言ではありません。オフィス移転をスムーズに成功させるために、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
オフィス移転と総務タスクの重要性
具体的な総務部門のタスクを紹介する前に、オフィス移転の重要性と、オフィス移転の際に総務部門が果たす重要な役割について解説します。
オフィス移転の重要性
オフィス移転は、企業の成長戦略において重要な施策です。企業にとって大きな投資であり、様々な効果が期待できます。オフィス移転に期待される効果を4つ紹介します。
- 人材戦略の強化:通勤環境の改善や新しい働き方の導入により、従業員の満足度やモチベーションが向上すると共に、新規人材獲得にも貢献
- 企業イメージの刷新:洗練された機能性に優れたオフィス環境により、社内外の企業イメージが向上
- 業務効率向上:最新の通信インフラ設備やオフィス設備の導入により業務効率・生産性が向上
- 環境負荷の低減およびコスト軽減:省エネ対応物件入居によるエネルギーコストの削減に加え、SDGsおよびカーボンニュートラルへの取り組みとしてアピール可能
オフィス移転における総務部門の役割
オフィス移転を成功に導くには、さまざまな準備や手続きが必要です。通常、総務部門がプロジェクトの推進を行います。従業員が快適に働く環境を整備し、円滑な企業運営をサポートすることが総務部門のミッションです。
オフィス移転に伴う総務部門のタスクは、範囲も広く複雑であり、容易ではありません。一般的に6か月以上の長期間にわたり、多岐にわたるタスクの進行管理と着実な遂行が求められます。
オフィス移転での総務タスクの注意点
オフィス移転の総務タスクで最大の注意点は、計画から実行まで行うべき項目に抜け漏れがないようにすることです。一つでも抜け漏れがあると、移転後の事業再開が滞り、取引先やお客様に迷惑をかける可能性があります。抜け漏れの防止には、本記事の最後の章でダウンロードできるチェックリストの活用がおすすめです。
余裕のあるスケジュールで計画し早めに各業者へ手配する
オフィス移転では、多岐にわたるタスクをこなす必要があり、余裕のあるスケジュールで計画することが重要です。原状回復工事、内装工事、引越、通信工事などは、できるだけ早めに手配しなければなりません。業者を決定する前には、相見積もりや商談を通して、予算内でベストパフォーマンスを発揮できる業者を比較検討する期間が必要です。業者や日程が決定した後も、何らかのトラブルにより工期が延びる可能性はあります。
一般的には約6か月前に新オフィスの物件を契約するケースが多いです。ただ、必要な工事の種類や規模によっては、6か月あってもタイトなスケジュールになることも考えられます。早めに各業者へ手配ができるように、早急に必要な見積もりを取得し、選定を進めましょう。
インターネットなどのインフラは移転後すぐ使えるように万全の整備が必要
オフィス移転後の事業再開には、インターネットや電話などの通信回線も重要です。通信環境にトラブルがあると、業務が停止するほか、取引先やお客様に多大な迷惑をかけてしまいます。
インターネットや電話などの通信回線とそれに伴うセキュリティシステムなどは、すぐに使えるように万全の準備が必要です。移転先でのネットワーク構築には幅広い業務が発生するため、専門の会社に依頼するのがおすすめです。NURO Bizでは、通信速度下り最大10Gbps/2Gbpsの高速インターネット接続サービスである『NUROアクセス』の提供に加えて、セキュリティ対策などオフィス移転に関するネットワーク関連のご相談を一括して受け付けています。
ネットワークの構築に関しては以下の記事もご覧ください。
オフィス移転までに行う4つの総務タスクについて
オフィス移転までに行う総務タスクは、主に下記の4つに分けることができます。
- 計画を立てる
- 現在入居中の旧オフィスの解約
- 新オフィスに入居する前の準備
- 引っ越し準備
1の計画だけは最初に立てる必要があります。
2~4は、進行管理の各担当者を決めて、準備が可能な作業から同時進行で進めていきましょう。
オフィス移転までに行う総務タスク①【計画を立てる】
まずは、オフィス移転までに行うべきタスクを整理し、計画を立てる必要があります。下記は計画策定の手順とポイントです。
- オフィス移転の目的や目標の明確化
- オフィス移転に必要な項目のピックアップ
- 旧オフィスの契約条件の確認
<Point>現在入居している旧オフィスの賃貸借契約書から、いつまでに解約予告をするべきか、原状回復義務の範囲、解約手続き、敷金(保証金)返還の有無などの契約条件を再確認しましょう。 - 項目ごとのスケジュール設定
- 項目ごとの担当者の割り振り
<Point>他部署からも各1~2名の担当者を選出すると良いでしょう。総務部から各部署との連絡が必要な際に窓口となる担当者が決まっていると、必要事項の周知や作業状況の確認などがスムーズに行えます。オフィス移転を担当する総務部のメンバーが不足している場合は特に、他部署のメンバーの活用を検討しましょう。 - 決定事項の社内周知
<Point>正式に決まったことは、全従業員に周知します。周知方法は、Web上で周知する方法や、説明会を実施する方法、作成したマニュアルを配布する方法などがあります。 - 担当者間の進捗状況の共有
<Point>各担当者間で、進捗状況を共有しましょう。皆で全体のスケジュールを把握していると、遅れている事項の見落としを予防でき、問題が大きくなる前に計画の立て直しをするなど、スピーディーに軌道修正することが可能です。
オフィス移転までに行う総務タスク②【現在入居中の旧オフィスの解約】
現在入居中の旧オフィスを解約する作業および手続きを解説します。
移転日が確定したら管理会社に解約予告をする
賃貸借契約書で締結した予告期限を過ぎないように、解雇予告をしなければなりません。一般的に約6か月前までに解約予告をする契約が多いとされています。
民法540条2項の定めにより、一度解約予告をしてしまうと、その後に意思表示の撤回はできません。予め原状回復工事(※)に必要な日数を見積もり、逆算しましょう。万が一工事が延長した場合も、解約日前に必ず工事が完了していると確実に見込める日程を解約日にしましょう。
※原状回復工事とは、部屋を借りていた人や企業が、退去する際に、部屋を借り始める前の状態に戻してから、貸主に引き渡すことです。次の章でも解説します。
原状回復工事を解約日までに終わるように手配する
オフィス移転後に旧オフィスで行われる原状回復工事は、退去日までに完了しておかなければなりません。工事に1か月以上かかる場合もあります。移転後すぐに工事業者が着手できるように早い段階で手配を進めておきましょう。
基本的に原状回復の義務は借りた側にあり、かかる費用も借りた側が負担します。原状回復工事の範囲や条件は、賃貸借契約書に記載されているはずです。貸主からの業者指定がない限りは、複数社から見積もりを取得し、コストパフォーマンスなどを比較検討してから手配することをおすすめします。
通信インフラ・その他の各種手続き
各種手続きは、オフィス移転が決まり次第、早め(標準は約5~3か月前まで)に手配しておきましょう。オフィス移転後すぐに業務が開始できるようにするには、インターネット回線・電話回線およびセキュリティシステムなどの整備は非常に重要です。今まで利用していたインターネット回線では通信速度などに不満があった場合は、乗り換えも検討してみてください。
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「NUROアクセス」を知る
下記は、通信環境以外に必要な手続きです。
- 電気・ガス・水道の移転手続き
- 移転日までに郵便局へ転居・転送届を提出
- 新オフィス使用開始の7日前までに消防署へ防火対象物使用開始届出書を提出
- 内装工事を行う場合は、工事開始日の7日前までに消防署へ防火対象物等工事計画届出書を提出
- 社員50名以上の企業は、新オフィス使用開始の7日前までに防火・防災管理者選任(解任)届出書/消防計画作成(変更)届出書を提出
データをバックアップしておく
引っ越し中に何かトラブルが発生して重要なデータが消えてしまった場合に備えて、引っ越し前に重要な書類などのバックアップを取っておくことが必要です。
オフィス移転までに行う総務タスク③【新オフィスに入居する前の準備】
新オフィスに入居する前の準備作業および手続きについて解説します。
レイアウト設計と内装工事の手配
移転先が決まり次第、複数の内装工事業者の見積もりを取り、比較検討した上で、自社の希望に合う業者に必要な内装工事を依頼します。一般的に約5か月前までに依頼する企業が多いです。レイアウト設計や内装デザインの希望があれば、業者に伝えましょう。
レイアウト設計は、専門業者に依頼した方が、手間がかからずデザイン性も高い傾向にありますが、自社で手掛けるケースも見られます。その場合は、まず一貫性のあるデザインやコンセプトを決めて、次に各エリアの面積配分を割り出し、その後に配置を考える方法がおすすめです。空間ごとの目的や機能、用途などの関連性ごとに大まかに区分けし配置を決めていく、ゾーニングという設計の考え方が、オフィスレイアウトには重要だと言われています。
オフィス家具やOA機器の購入やリース手配
現在のオフィスで利用しているオフィス家具やOA機器をリストアップし、今後の利用方法を確認しましょう。現在のオフィスから流用するか、新しく購入するか、リース契約を継続するかを、社内で検討します。新たに購入する場合は早めに発注しましょう。例えば、電話機やコピー機をリース契約している場合や、コピー用紙や備品を定期購入している場合は、移転に伴う届出をしなければなりません。
各種開通手続き(インターネット回線、セキュリティなど)
オフィスビルによっては、通信事業者が指定されていることもあるので、事前に確認した上で、早めに各通信事業者に開通工事を手配しておきましょう。オフィス移転時は、電話回線やインターネット回線ならびにセキュリティシステムを強化する良い機会です。現在の通信環境に不満がある場合は、見直しを検討しましょう。
新オフィスの社内ルールの作成および周知
新オフィスの概要が分かり次第、従業員に全体周知しましょう。業務で車を使用する企業の場合は、駐車場のルールも説明します。総務部または人事部は全従業員の交通費を更新しなければならないため、新しい交通経路や通勤費は、早々に(標準的な目安は約6か月前~3か月前まで)提出を求めることが重要です。
消防法にかかわる消火設備・警報設備・避難設備なども、移転初日までに忘れずに周知しておきましょう。ビル内の設備マップを、座席表と共に誰もが閲覧できるようにしておくと便利です。
名刺、自社封筒、社印、入館IDなどの準備
経営陣に確認後、取引先やお客様には、早めに移転のお知らせを送付しましょう。ホームページなどの情報も変更する必要があります。従業員の名刺や入館ID、会社名と住所を印刷した自社封筒、社印なども、移転初日に間に合うように余裕を持って手配をしておくことが重要です。
銀行口座やクレジットカードなどにも早々に住所変更の手続きをしておかなければなりません。
オフィス移転までに行う総務タスク④【引っ越し準備】
引っ越しの準備作業および手続きについて解説します。
引っ越し事業者への発注手配
複数の相見積もりで比較検討した上で、なるべく早く引っ越し事業者への手配を進めてください。一般的に約5か月前までに発注手配する企業が多いと言われています。
引っ越しの際は、破損や紛失による情報漏洩などが心配になるかもしれません。そのような心配がある場合は「引越安心マーク」が交付されている引っ越し事業者を選ぶことをおすすめします。「引越安心マーク」は、全日本トラック協会が安心・安全な引越サービスを提供することを認めた引っ越し事業者に交付しているマークです。国土交通省のホームページでも紹介されています。
一部の引っ越し事業者のみ、不用品回収に対応しています。希望する場合は直接確認をしてみてください。
引っ越し廃棄物に関する参考資料
引越し時に発生する不用品は、法律に従った方法で処分しなければなりません。不用品の処分で不明な点がある際は、下記の資料を参考にしてみてください。
従業員全員が荷物の梱包を完了するための周知と先導
引っ越しのスケジュールやルールを全従業員に周知しましょう。梱包作業の際は、全ての荷物に部署名・名前・物品名を分かりやすく明記するように伝えておくことも大切です。各部署に担当者を任命し、定期的に連携して状況を確認し、全ての梱包作業が完了するまで先導することが必要です。
新オフィスに移転した際にも各部署の担当者と連携し、全従業員のネットワーク回線や電話回線が問題なくつながったことも確認しましょう。
オフィス移転後に速やかに行う総務タスク【法務手続きなど】
オフィス移転後に速やかに行うべき総務タスクとして、法務手続きなどがあります。
法務局、税務署、都道府県税事務所、社会保険事務所、労働基準監督署、公共職業安定所のそれぞれに、届出が必要です。
書類の種類や提出期限は「オフィス移転が決まったらやるべき17のやることチェックリスト」25ページ目の一覧表で詳細をご案内しています。
まとめ
この記事では、オフィス移転の総務タスクを総合的に解説しました。
やるべき作業が盛りだくさんなので、何から取り組めばよいか、どこまで進行したかと戸惑うこともあるかもしれません。そのため「オフィス移転が決まったらやるべき17のやることチェックリスト」にチェックマークを付けながら進めていくことをおすすめします。
また「オフィス移転までに行う総務タスク②③④」の各章のタスクには、進行管理の責任者を決めて、②③④それぞれの担当者が連携を取りながら実施していくとよいでしょう。
オフィス移転時は、高速インターネットや安心のセキュリティシステムを万全に整備する良い機会でもあります。もし現在のインターネットやセキュリティに不安がある場合は、NURO Bizをご検討ください。
\ この記事を書いた人! /
移転Biz編集室
こんにちは、移転Biz編集室です! オフィス移転の際に役立つ情報をお届けします。