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【オフィス移転の手続き】流れ・提出先・手続き方法・費用目安を徹底解説!

オフィス移転は、効率的に進めなければならない重要なプロジェクトです。手続きが多岐にわたり、期限を厳守する必要があるため、事前に綿密な計画を立てることが成功の鍵となります。

本記事では、オフィス移転の手続きを時系列で紹介しながら、手続きをスムーズに進めるためのポイントや、費用相場を紹介します。

目次

オフィス移転時の手続き一覧

オフィス移転に際しては、膨大な量の手続きがあります。それぞれの手続きに期日があるため、適切なタイミングで効率よく進めなければなりません。

まずは、オフィス移転に伴って発生する手続きにどのようなものがあるのか、一覧表で確認します。

▼オフィス移転までに済ませる手続き

オフィス移転に伴って必要な手続き手続きのタイミング・期日手続きする場所用意するもの
新オフィスの候補先選定・オフィス移転が決定した段階で速やかに
・オフィス移転の8か月程度前までが目安
不動産仲介会社や管理会社
株主総会及び取締役会オフィス移転が決定した段階で速やかに召集を手配 招集通知の発送期日は原則として以下の通り
・公開会社の場合は株主総会の日の2週間前まで
・非公開会社の場合は株主総会の日の1週間前まで
・取締役会は招集の日の1週間前まで
株主 各取締役と各監査役    株主総会招集通知 取締役会開催通知書
新オフィスの契約手続きオフィス移転が決定し株主総会での決議後、速やかに不動産仲介会社や管理会社・会社謄本
・会社印鑑証明書
・連帯保証人住民票
連帯保証人印鑑証明書
・会社実印
・連帯保証人実印
・ゴム印
オフィス移転業者の選定・契約オフィス移転が決定し株主総会での決議後、速やかにオフィス移転先の住所地
原状回復工事の手配オフィス移転日の1ヶ月から2ヶ月前
現在のオフィスの管理者に退去する旨を通知・オフィス移転先が決定後速やかに
・契約内容にもよるが、退去日の3ヶ月から6ヶ月前までに解約通知を提出するのが一般的
管理会社やオフィスの貸主・退去予告通知
・書式は契約内容に準じる
インターネットや電話回線の移転手続き契約内容によって要する日数が異なるのでオフィス移転が決まった段階で早めに打診し準備を開始サービス提供会社
取引先への連絡取引先によって、オフィス移転の1ヶ月から3ヶ月前程度までに通知取引先各社 顧客 その他関係者オフィス移転の挨拶状
ホームページでオフィス移転を通知取引先への挨拶状が到着するタイミングで更新
防火対象物使用開始の届出オフィス移転の7日前まで管轄の消防署防火対象物使用開始届出書
転居届の提出オフィス移転1週間前から移転後14日以内郵便局転居届

▼オフィス移転後の手続き

オフィス移転に伴って必要な手続き手続きのタイミング・期日手続きする場所用意するもの
オフィス移転の登記申請オフィス移転後2週間以内法務局・本店移転登記申請書
・株主総会議事録
・株主総会に出席した株主のリスト
・取締役会議事録
・印鑑届書
健康保険・厚生年金保険適用事務所名称/所在地変更(訂正)届オフィス移転後5日以内年金事務所 もしくは年金事務所と健康保険組合の両方に・登記事項証明書
・賃貸借契約書等の写し
労働保険名称・所在地等変更届と
雇用保険事業主事業所各種変更届
オフィス移転日の翌日から起算して10日以内に提出労働基準監督署と公共職業安定所・登記事項証明書
・事業許可書
・住所変更が確認できる書類
異動届出書オフィス移転後速やかに都道府県税事務所内容確認のため定款等の写しの提出を求められる場合があるが、基本的には不要
車庫証明オフィス移転後15日以内管轄の警察署・自認書
・保管場所使用承諾書
・賃貸契約書のいずれか
銀行・クレジットカードの住所変更手続きオフィス移転後速やかに銀行・クレジットカード会社・移転後の登記事項証明書
・社印
・印鑑証明書
・通帳など
オフィスの返還手続き退去日として通知した日管理会社やオフィスの貸主・賃貸契約中の貸与物

オフィス移転までに済ませる11の手続きとその詳細

オフィス移転が決定した後、実際にオフィス移転当日を迎えるまでに完了させるべき手続きには次のようなものがあります。

1.新オフィスの候補先選定

オフィス移転が決定した段階で速やかに、新オフィスの候補先を選定します。移転先の選定は、遅くとも移転の8ヶ月程度前までにはスタートしてください。

現在使用しているオフィスとの契約内容にもよりますが、一般的にオフィスを退去する6ヶ月程度前までに、店舗のオーナーやビルの管理会社に解約通知を出さなければなりません。

解約通知を提出するタイミングが遅れると、新オフィスと旧オフィスとの間で、二重に家賃が発生する時期が長くなります。また、賃貸契約の終了に伴って返還される敷金や委託金の返却時期が遅れるため、オフィス移転後の資金繰りの計画にも影響を及ぼすでしょう。

また、希望するオフィスがすぐに見つかるとは限りません。オフィス移転の計画を立て始める初期段階で、新オフィスを探し始めてください。

2.株主総会及び取締役会

オフィス移転の決定プロセスは、企業の内部規定や株主総会の議題に依存します。また株式会社のオフィス移転の場合は、オフィス移転の登記申請に際して株主総会と取締役会の決議書の提出が必要です。

オフィス移転が決定した段階で速やかに株主総会の召集を手配し、株主総会後は取締役会の招集を手配します。

招集通知の発送期日は原則として以下の通りです。

  • 公開会社の場合は株主総会の日の2週間前まで
  • 非公開会社の場合は株主総会の日の1週間前まで
  • 取締役会は招集の日の1週間前まで

オフィス移転に伴う登記申請に際しては、定款の記載事項の変更があるため、株主総会を招集しなければなりません。そして株主総会の招集通知は、会社法第299条第1項に定められた法律上の手続きです。

株主総会の招集通知は原則として、書面での通知が必要です。ただし株主の承諾がある場合に限り、メールをはじめとする電磁的方法で通知できます。この場合は会社法325条の4第1項により、株主総会の日の1週間前までが招集通知の期限です。

株主総会の招集通知はすべての株主宛、取締役会の招集通知は各取締役と各監査役宛に送付します。

3.新オフィスの契約手続き

株主総会及び取締役会の承認を得られたら、新オフィスの契約手続きをおこないます。

株主総会と取締役会を経て、新オフィスの契約手続きに着手するのが、正式な手続きの手順です。

ただ企業の規模や風土によっては、株主総会や取締役会に先んじて新オフィスの契約手続きに着手するケースも考えられるでしょう。その場合、新オフィス候補決定後に株主や取締役に詳細を打診し、了承を得られた段階でオフィスの契約を済ませ、その後の株主総会や取締役会で正式な承認を得ます。

株主総会や取締役会の決議の前に新オフィスの契約手続きをすることについては、絶対的な正解はありません。それぞれの企業の内情に合わせて、もっとも円滑に組織運営が進む方法を検討し、選択してください。

4.オフィス移転業者の選定・契約

オフィス移転をサポートする引っ越し業者を選定する際にチェックすべき点には、次のようなものがあります。

  • オフィス移転の実績の有無
  • 対応可能なサポートの範囲
  • 不用品の廃棄処分への対応の可否
  • 新オフィスのレイアウト作成の可否
  • 内装工事の対応の有無
  • 価格とサービスの質

初めてのオフィス移転の場合は、オフィス移転に知見があり、オフィス移転に伴う作業をワンストップで受注できる引っ越し業者を選ぶとよいでしょう。

オフィス移転は一般的な転居とは異なり、多くの経験やノウハウが必要です。オフィス移転専門の業者でない場合、作業がスムーズに進まなかったり、不用品の処理や内装工事など、別途業者を手配する手間やコストがかかったりすることがあります。

オフィス移転に際しては、すべての取引先と連絡を取り合い、各所で手続きし、社内での調整もおこなわなければなりません。適宜オフィス移転の専門家のサポートを受けながら、少しでも負担を軽減することが、スムーズにオフィス移転を完了させるポイントです。

5.原状回復工事の手配

オフィス移転業者に原状回復工事まで依頼しない場合は、別途原状回復工事を内装業者に依頼する必要があります。

原状回復工事に際しては、工事範囲の調整や実際の発注まで、1ヶ月から2ヶ月程度の期間が必要です。そのため、オフィス移転日の1ヶ月から2ヶ月前までには、原状回復工事業者に依頼できるよう、手続きを進めてください。

なお原状回復工事にかかる期間は、オフィスの広さが30坪から50坪前後の場合で2週間程度、100坪以上の場合は1ヶ月程度要することもあります。また内装業者の受注状況によって、退去後すぐに工事に着手できない可能性も考えられます。とくに年末年始やお盆といった時期にかかる場合、内装工事業者が休業しており対応できないこともあります。

オフィスの移転先が決定した早い段階で原状回復工事を手配しておきましょう。退去日、つまりオフィスの返還日を計画的に決定すれば、新オフィスと旧オフィスの二重家賃の期間を短くすることにつながるからです。

また、原状回復工事の日程を調整する際は、振動や騒音、エレベーターの使用が制限される、といった状況が発生することにより、別のフロアやオフィスの利用者から苦情が入る可能性があります。ビルとして工事の作業時間を夜間や週末などに限定していないか、管理会社や貸主に確認しましょう。

工事の日程が決まったら、同じビル内の他のオフィスに、移転に伴う工事で迷惑をかける可能性がある旨を伝え、事前に挨拶しておく配慮も必要です。

6.現在のオフィスの管理者に退去する旨を通知

オフィス移転先が決定したら速やかに、現在のオフィスの管理者に対して解約通知を送付します。

解約通知を送付する期限は、退去予定日の3ヶ月から6ヶ月前までが一般的です。ただ個別の契約によって期限が異なるケースもあるため、詳細は賃貸契約書の内容をご確認ください。

解約通知に記載する退去日には、オフィス内の荷物をすべて搬出し、原状回復が完了する日を指定します。予定日が遅くなるほど、新オフィスとの二重家賃が発生する期間が長くなるため、できるだけ早く退去日を設定することが、オフィス移転にかかるコストを抑えるために有効です。

しかし一旦解約通知を貸主に提出すると、貸主は速やかに次のテナント候補の募集を開始することがあります。その場合、万が一にも物品の撤去や原状回復の工事が遅れた場合でも、退去日を延長できない事態が、発生しかねません。解約通知に記載する退去日は、スケジュールに余裕を持たせて設定することが大切です。

7.インターネットや電話回線の移転手続き

オフィス移転先が決定したら、インターネットや電話回線のサービスプロバイダーに連絡し、手続きの詳細について確認しておくことが大切です。

契約内容や諸条件によっては、別のサービス提供先を探さなければならないケースや、開通工事が必要なケースも少なくありません。

移転先のオフィスの住所地が決定していれば、サービス対応エリアであるか、また開通工事をはじめとする諸手続きが必要か否かが分かります。インターネットや電話回線のサービスプロバイダーに連絡した際は、以下の点を確認してください。

  • 現在の回線を移転先でも使用できるか否か
  • 移転先での開通工事への立会いの有無
  • 現在の契約を解約する場合の違約金の有無
  • 初期工事費の分割がある場合、残高の支払い方法
  • 移転時に回線撤去工事が必要か否か

移転先でスムーズにインターネットや電話回線を利用できるよう、オフィス移転先が決定したら早い段階で手配しておきましょう。

8.取引先への連絡

オフィス移転の1ヶ月から3ヶ月前までを目安に、各取引先にオフィス移転の通知を送付します。通知を送付するタイミングの目安は、次のとおりです。

  • 取引先企業:オフィス移転の2ヶ月から3ヶ月程度前まで
  • 顧客やその他関係者:オフィス移転の2週間から1ヶ月程度前まで

取引先にオフィス移転の通知を早い段階で送る理由は、オフィス移転に伴って納品物の送付先の変更を手配するなど、関係各所へ連絡を取らなければならないケースがあるためです。早めにオフィス移転を通知することで、オフィス移転後の取引がスムーズになります。

オフィス移転の通知方法は、はがきや挨拶状、メールが一般的です。送付先との距離感や関係性によって、いずれかの方法を使い分けます。

たとえば株主や取引先宛に企業名で送付するオフィス移転の通知であれば、挨拶状を作成するのが妥当です。過去に数回程度やり取りがあった顧客や取引先であれば、はがきでの通知という方法もあります。企業名での通知のほかに、担当社員が直接取引先に連絡する場合は、メールでカジュアルに連絡するという方法もよいでしょう。

はがきや挨拶状でオフィス移転の通知を行うする際は、オフィス移転の3ヶ月から4ヶ月程度前から準備を始めると安心です。挨拶文を作成し、印刷する手間と時間がかかります。挨拶状の作成に対応する業者に依頼するのか、自社内で作成するのか決定し、速やかに手配しましょう。

オフィス移転のお知らせについては、下記の記事も参考にしてください。

9.ホームページでオフィス移転を通知

取引先および顧客への挨拶状が到着するタイミングで、企業ホームページを更新しましょう。企業ホームページの内容と現状に差異がある場合、企業としての信頼性の低下につながりかねません。

ホームページを作ったままほとんど更新していなかったという企業の方もいるかもしれません。オフィス移転のタイミングでホームページの内容をブラッシュアップすれば、新たな顧客層にアピールするチャンスとして活用できます。

10.防火対象物使用開始届出書の提出

防火対象物使用開始届出書は、建物を新たに使用する場合に必要な手続きです。建物を新たに使用開始する7日前までに、移転先のオフィスを管轄する消防署に、次のいずれかの方法で提出します。

  1. 電子申請
  2. 管轄の消防署の窓口で手続き
  3. 管轄の消防署宛に郵送で手続き

防火対象物使用開始届出書は、管轄消防署の公式サイトから入手できます。電子申請も同様です。

防火対象物使用開始届出書を提出したら、移転先オフィスの使用を開始する前に消防署の検査を受ける必要があります。届出の内容によっては検査が省略されるケースもあるため、詳細は管轄の消防署にご確認ください。

11.転居届の提出

オフィス移転の1週間くらい前になったら、郵便局に転居届を提出します。転居届を提出すれば、旧オフィスの住所宛に送付された郵便物が、自動的に新オフィス宛に転送されます。

転居届の手続きは、次の3つの方法でおこないます。

  1. 郵便局の公式サイトから申請
  2. 郵便局の窓口に転居届を提出
  3. 転居届をポストに投函

転居届が郵便局で受領されてから転送の手配が完了するまでに、1週間程度の時間がかかります。オフィス移転後速やかに郵便物が転送されるよう、オフィス移転前に事前に転居届を提出しておきましょう。

オフィス移転後におこなう7つの手続きとその詳細

オフィス移転が完了してから、おこなうべき手続きが7つあります。なおオフィス移転後の手続きのほとんどに期日が設けられているため、あらかじめ必要な書類を準備し、期日内に順次、速やかに手続きを進めることが大切です。

オフィス移転後におこなう7つの手続きについて、詳細をご説明します。

1.オフィス移転の登記申請

オフィス移転の登記申請は、法務局でおこなう手続きです。オフィス移転日から2週間以内に手続きしなければなりません。2週間の期限を過ぎた場合、登記懈怠として、代表者個人が100万円以下の科料を受ける可能性があります。科料を受ける事態を避けるために、オフィス移転があった場合は、できるだけ速やかに手続きを取りましょう

オフィス移転の登記申請の手続き方法には、次の3つがあります。

  1. オンライン申請
  2. 法務局窓口での手続き
  3. 法務局宛に郵送して手続き

オフィス移転に伴う法務局での登記の申請手続きには、次のような書類が必要です。

添付書類書類の概要
本店移転登記申請書移転先を記載
株主総会議事録および株主総会に出席した株主のリスト本店移転が株主総会で議決された記録
取締役会議事録取締役会における決定事項が記載された書類
印鑑届書移転先管轄法務局に実印登録が必要

(参考:法務局「商業・法人登記の申請書様式」

書類に不備がある場合受理されず、手続きが進みません。また旧オフィスと新オフィスが異なる法務局の管轄である場合、申請書を2通作成し、新旧両方の管轄法務局で手続きしなければなりません。

自社で全ての書類を揃えるのが難しい場合は、司法書士のような法律の専門家に依頼するのもよいでしょう。

またオフィス移転に伴う手続きで登記事項申請書が必要なため、登記申請したタイミングで取得しておくと、その後の手続きがスムーズに進みます。

オフィス移転に伴う登記申請手続きの詳細については下記の記事もご参照ください。

2.健康保険・厚生年金保険適用事務所名称/所在地変更(訂正)届

健康保険・厚生年金保険適用事務所名称/所在地変更(訂正)届の提出は、健康保険や厚生年金保険加入時に届出した会社所在地の変更に伴って必要な手続きです。オフィス移転日から起算して5日以内に手続きしなければなりません。

健康保険には、協会けんぽ(全国健康保険協会)と組合健保があります。申請書類の提出先は、協会けんぽと組合健保の場合で異なります。

  • 協会けんぽ(全国健康保険協会):多くの中小企業が加入している健康保険
  • 組合健保:中規模から大手の企業が主に加入している健康保険
事業所の種類手続き先
協会けんぽの事業所事業所を管轄する年金事務所(事務センター)
組合健保の事業所事業所を管轄する年金事務所(事務センター)と健康保険組合

(参考出典:日本年金機構「適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)

オフィス移転に伴って管轄する年金事務所が変更になる場合は、変更前の事業所所在地を管轄する年金事務所に書類を提出してください。

健康保険・厚生年金保険適用事務所名称/所在地変更(訂正)届で手続きする場合は、次の添付書類を用意します。なお提出書類は、協会けんぽ(全国健康保険協会)と組合健保で、大きな差異はありません。

  • 登記事項証明書(提出日前90日以内に発行されたもの)
  • 賃貸借契約書等の写し(事業所の所在地が登記簿と異なる場合)

ただし組合健保の場合は、追加書類提出を個別に定めているケースがあります。組合健保の場合はあらかじめ、提出書類について問い合わせるとよいでしょう。

なお登記事項証明書は、協会けんぽと組合健保のいずれの場合も必要な書類です。法務局でオフィス移転に伴う登記の変更申請を完了させたら、登記事項証明書を取得しておくと、健康保険・厚生年金保険適用事務所名称/所在地変更(訂正)届の手続きがスムーズです。

3.労働保険名称・所在地等変更届と雇用保険事業主事業所各種変更届

労働保険名称・所在地等変更届は、オフィス移転があった翌日から起算して10日以内に、管轄の労働基準監督署もしくは公共職業安定所に提出する書類です。

手続き書類の提出先は、一元適用事業所か二元適用事業所かによって異なります。

事業所の種類定義対応する業種提出先
一元適用事業所労災保険料と雇用保険料の申告・納付を一体のものとして扱う事業所農林水産業等の一次産業と建設業移転後の所在地を管轄する労働基準監督署
二元適用事業所労災保険料と雇用保険料の申告・納付を区別しておこなう事業所その他の業種すべて移転後の所在地を管轄する労働基準監督署に「労働保険名称、所在地等変更届」を提出 さらに 雇用保険については、移転後の所在地を管轄する公共職業安定所に「労働保険名称、所在地等変更届」及び「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出

(出典:東京ハローワーク「適用事業所に関するQ&A」

労働保険名称・所在地等変更届けは、手続きに際して必要な添付書類が事業所ごとに異なるため、あらかじめ提出先にご確認ください。

雇用保険事業主事業所各種変更届には、次の資料のうちいずれか一点の提出が必要です。

  • 登記事項証明書
  • 事業許可書
  • 他の行政機関への提出済み書類(控え)等、住所地の変更の事実が確認できる書類

労働保険名称・所在地等変更届の提出がなされないと、労働基準監督署や公共職業安定所、労務局から届く労働保険に関する通知や書類が届かないことがあるため、期日内に手続きをしてください。

4.異動届出書

異動届出書は、都道府県の税事務所に提出する書類です。提出期限は定められていませんが、オフィス移転後可能な限り速やかに手続きを済ませましょう。

なお異動届出書を提出した場合には、適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書を提出する必要がなくなるメリットがあります。

手続きは、税務署の窓口もしくはe-Taxホームページから、オンラインでも可能です。基本的に添付書類はありませんが、異動事項の内容確認に伴い、定款等の写しの提出を求められることがあります。

5.車庫証明

社用車がある場合は、オフィス移転後に管轄の警察署で車庫証明の住所変更の手続きをする必要があります。自動車の保管場所の確保等に関する法律第7条第1項により、車庫証明の住所変更手続きは、オフィス移転後15日以内におこなわなければなりません。違反した場合は、10万円以下の科料が課されることがあります(自動車の保管場所の確保等に関する法律第17条第3項)。

車庫証明の申請から交付までには3日から7日程度の時間がかかります。住所変更から15日以内という期限内に交付が完了するよう、オフィス移転から1週間程度を目処に申請手続きをおこなうとよいでしょう。

手続きに際しては、次のうちいずれか1点の添付書類が必要です。

  • 自認書:自身で保有する土地で自動車を保管する場合の証明書
  • 保管場所使用承諾書:自己所有ではない土地に車を保管する場合であり、かつ賃貸物件の契約に駐車場が含まれていない場合の証明書
  • 賃貸契約書:自己所有ではない土地に車を保管するが、賃貸物件の契約に駐車場が含まれている場合の証明書

保管場所使用承諾書は、貸し駐車場の貸主や管理会社に発行を依頼して用意します。証明書は作成された日から3ヶ月以内のものでなければなりません。証明書の発行に際しては、2,000円から5,000円程度の手数料がかかる場合があるため、料金詳細は貸主にご確認ください。

なお賃貸物件の契約に駐車場が含まれている場合は、保管場所使用承諾書の代わりに賃貸契約書でも代用が可能です。

また車庫証明で利用できる駐車場は、本社や支店などの拠点から2キロメートル以内の場所に限定されます。オフィスと駐車場が直線距離で2キロメートル以上離れていないか、オフィスを契約する前に確認しておきましょう。

6.銀行・クレジットカードの住所変更手続き

取引先の銀行やクレジットカード会社で、住所変更手続きをおこないます。銀行やクレジットカード会社での住所変更手続きに伴い、よく提出を求められる書類は次のようなものがあります。

  • 移転後の登記事項証明書
  • 社印
  • 印鑑証明書
  • 通帳

具体的な手続きの詳細や必要な添付書類は銀行やクレジットカード会社によって異なるため、移転前に確認しておくとよいでしょう。

銀行やクレジットカード会社での住所変更手続きに、明確な期限は定められていません。しかし社会的な信用を維持するためにも、オフィス移転後は速やかに、手続きを取ることが推奨されます。

7.オフィスの解約手続き(原状回復の確認と貸与物の返還)

旧オフィスの原状回復工事が完了したら、オフィスの返還手続きをおこないます。

このとき、オフィスのキーを始めとする賃貸契約期間中の貸与物はすべて、返還しなければなりません。複数の社員でオフィスのキーなどを共有していた場合は、早めに回収し、すべて返還できるように用意を整えておきます。

退去日に旧オフィスで、貸主もしくは管理会社の立ち合いのもとオフィスの原状回復の状況を確認、鍵を返却して、旧オフィスでの手続きは完了です。敷金や保証金の返金がいつ頃になるか、確認しておくとよいでしょう。

賃貸契約書や解約通知の控えを手元に用意しておくと、万が一の認識の齟齬があった場合にも、やり取りがスムーズです。

時系列でみるオフィス移転の手続き

オフィス移転の手続きについて、オフィス移転の計画を立てるところから一通りの手続きを完了させるまでの流れを、時系列で確認しましょう。

オフィス移転の1年程度前|全体の計画を立てタイムラインを確認

オフィス移転が決定したら、どの時期にどのような作業や手続きをするか、全体の計画を立てます。オフィス移転に伴う手続きで、期日を必ず守らなければならないものは最優先事項です。期日内に必ず手続きを完了させられるよう、早めに準備を進めるような計画を立てましょう。

また期日の定めはなくても、オフィス移転に伴いやらなければいけないことはいくつもあります。その中でも優先順位をつけ、チェックリストも活用しながら、手続きや手配に抜け漏れがないように綿密な計画を立ててください。

オフィス移転の1年程度前から半年前までの間にすべき手続きには、次のようなものがあります。

  • 移転先オフィスの選定
  • 株主総会や取締役会の開催
  • 移転先オフィスの契約

初めてのオフィス移転なら、無料でダウンロードできる「オフィス移転が決まったらやるべき17のやることチェックリスト」を活用してください。オフィス移転で必要な手続きが時系列に書かれているので、「オフィス移転が決まったらやるべき17のやることチェックリスト」を参照すれば、オフィス移転の計画をスムーズに立てられるでしょう。

またこのタイミングで移転先のオフィスを選定し、契約に向けた準備を進めることも大切です。

オフィス移転の6ヶ月前まで|オフィス移転に向けた社内外の手続きを進める

オフィス移転先が決定したら、現在のオフィスを引き払うための手続きを着々と進めます。この頃に進めておきたい手続きは、次のとおりです。

  • オフィス移転業者の選定と契約
  • 現在のオフィスの管理者への退去通知

オフィス移転の3ヶ月から2ヶ月前|オフィス移転の手続きの下準備を進める

順調にオフィス移転の準備が進んでいれば、この頃はゆとりが持てるタイミングでしょう。当初立てたオフィス移転計画が順調に進んでいるか、遅れている工程がないかチェックします。

オフィス移転に伴う手続きにはいくつもの必要書類があるため、速やかに手続きを進められるよう、下準備を進めることも大切です。このタイミングでおこなう具体的な作業には、次のようなものがあります。

  • インターネットや電話回線の移転手続きについてプロバイダーに問い合わせ
  • 事業に必要なライセンスや許可証の住所変更手続きの方法について確認
  • オフィス移転業者や内装業者との打ち合わせ
  • 原状回復工事の手配
  • 取引先や顧客に向けた挨拶状の作成を手配
  • ホームページの更新内容を決定し業者に発注

オフィス移転の1ヶ月前

オフィス移転の1ヶ月前を迎えた頃には、取引先や顧客に向けて正式に移転の旨を発表します。

またオフィス移転に向けて、どのような準備をいつまでに進めておけば良いか、社員と共有し、全社を上げてオフィス移転の成功に向けて歩みを進められるよう、進捗を確認することも大切です。

また、オフィス移転の7日前までに完了させなければならない防火対象物使用開始の届出についても、このタイミングで済ませておきましょう。

  • 取引先や顧客に対してオフィス移転の通知を送付
  • ホームページにオフィス移転の通知を掲載
  • 処分して良い不用品と移転先に運ぶ物品の分別を進める
  • 防火対象物使用開始の届出

オフィス移転の1週間前から移転当日|手続きがスムーズに進むよう最終確認するフェーズ

日々の業務と並行してオフィス移転の準備を進めることは、社員にとって大きな負担です。過重労働にならぬよう細やかに気を配ることが大切です。

オフィス移転に向けた進捗を随時社内で共有しながら、準備が遅れている部署等があれば、集中的にサポートするよう心がけてください。

オフィス移転から1週間以内|優先順位に従って着実に手続きを進める

オフィス移転の日から起算して、様々な手続きの期限のカウントダウンがスタートします。オフィス移転の計画書や「オフィス移転が決まったらやるべき17のやることチェックリスト」に照らし合わせながら、順次手続きを進めます。

なおオフィス移転後すぐ着手したいのが、法務局でおこなうオフィス移転の登記変更の申請手続きです。

オフィス移転の登記申請は移転から2週間後が期限ですが、社会保険や厚生年金、労働保険に関する手続きで、新オフィスの所在地の記載がある登記事項証明書を、添付書類として提出しなければなりません。特に健康保険・厚生年金保険適用事務所名称/所在地変更(訂正)届はオフィス移転後5日以内に手続きしなければならないため、速やかに登記事項の変更手続きを済ませる必要があります。

まずはオフィス移転の登記申請を法務局で済ませ、登記事項証明書を取得してから、その他の手続きに着手すると、効率よく諸手続きを完了させられます。

オフィス移転後に、優先的におこなう手続きは次のとおりです。

  • オフィス移転の登記申請(オフィス移転後2週間以内)
  • オフィス移転後2週間以内(オフィス移転1週間前から移転後14日以内)
  • 健康保険・厚生年金保険適用事務所名称/所在地変更(訂正)届(オフィス移転後5日以内)
  • 労働保険名称・所在地等変更届と雇用保険事業主事業所各種変更届(オフィス移転日の翌日から起算して10日以内に提出)
  • 異動届出書(オフィス移転後速やかに)
  • 車庫証明(オフィス移転後15日以内)
  • 銀行・クレジットカードの住所変更手続き(オフィス移転後速やかに)

またオフィスの返還手続きには、旧オフィスに出向いて貸し主や管理会社の立会いのもと、原状回復の状態をチェックしたり、鍵を返却したりといった作業があります。

オフィス移転のスケジュールについてもっと知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

オフィス移転手続きにかかる費用の目安

オフィス移転手続きにかかる費用は、企業の規模や移転先によって異なります。ここでは、手続きにかかる費用を中心に、目安となる金額を抽出したものが下の表です。

費用項目費用目安
防火対象物使用開始の届出手数料不要
転居届の提出手数料不要
オフィス移転の登記申請3万円~6万円程度
登記事項証明書発行手数料(1通あたり)法務局窓口で発行:600円 郵送で受け取り:500円 オンライン申請:480円
健康保険・厚生年金保険適用事務所名称/所在地変更(訂正)届手数料不要
労働保険名称・所在地等変更届手数料不要
雇用保険事業主事業所各種変更届手数料不要
異動届出書手数料不要
車庫証明申請手数料:2,000~2,300円 標章交付手数料:500~610円 (都道府県によって異なる)
保管場所使用承諾書2,000~5,000円程度
原状回復工事の費用(1坪あたり)小規模ビル:2万円程度 10~50坪:3~5万円程度 50坪以上:10~20万円程度
インターネットや電話回線開通の手続き(社員数一人当たり)5~8万円程度
内装工事(1坪当たり)10~30万円
オフィス移転の引っ越し(社員1人あたり)3万円程度~

法務局での登記申請、登記事項証明書の発行、および車庫証明の手続きに若干の費用がかかります。役所での手続きにかかる費用は、3万5000円程度以上かかると見込んでおくとよいでしょう。

原状回復工事や内装工事等の設備にかかる費用は、複数の業者から見積もりを取得し、比較検討すると、コストを抑えながらニーズを満たせるオフィス移転を実現しやすくなります。

オフィス移転手続きを効率化するポイント

ここまで紹介したように、オフィス移転の手続きは多岐にわたります。どのタイミングで何をすべきか、正確に把握しながら管理しないと、手続きを完了すべき期日内に手続きが終わっていないといった事態になりかねません。

法務局でのオフィス移転の登記申請は、2週間以内に完了しない場合、罰則が課せられる可能性もあるため、特に注意が必要です。

しかし、日々の業務の合間にオフィス移転に伴って必要な手続きをリストアップし、管理表を作るのは、容易ではないでしょう。そんな時は、時系列でオフィス移転に必要な工程や事務手続きを把握できる「オフィス移転が決まったらやるべき17のやることチェックリスト」をご活用ください。

「オフィス移転が決まったらやるべき17のやることチェックリスト」には、オフィス移転時に必要な届け出一覧がまとめて記載されています。オフィス移転に活用できる17項目を簡単にチェックできるため、うっかり手続きを忘れていた、といった事態を防ぐのに効果的です。

「オフィス移転が決まったらやるべき17のやることチェックリスト」は、無料でダウンロードしてご利用いただけます。コストパフォーマンスよくオフィス移転の手続きを進めるなら、今すぐ「オフィス移転が決まったらやるべき17のやることチェックリスト」をダウンロードしてご活用ください。

まとめ

オフィス移転の手続きは複雑で作業量が多く、期限も厳守しなければなりません。そのため、時系列に沿って計画を立て、効率的に進めることが重要です。

ただ、忙しい業務の間に必要な手続きをリストアップし、時系列に並べ替えてスケジューリングするのは容易ではないでしょう。

ぜひ、無料で使える「オフィス移転が決まったらやるべき17のやることチェックリスト」を活用して、期日を遵守しながら効率よくオフィス移転の手続きを進めてください。

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移転Biz編集室

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こんにちは、移転Biz編集室です! オフィス移転の際に役立つ情報をお届けします。

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