サステナブルなオフィス移転とは?具体的な取り組みやメリットを解説
1. サステナブルなオフィス移転とは
1.1 サステナブルとは何か
サステナブル(sustainable)とは、sustain(持続する)とable(可能な)を組み合わせた言葉で、「持続可能な」という意味を持ちます。サステナブルというと環境負荷の低減をイメージする方も多いかもしれませんが、人権の保持・多様性の尊重・労働者の福祉・ビジネスの持続的な発展など、様々な面での持続性を表す言葉です。
近年では、2015年に「持続可能な開発目標」であるSDGs(Sustainable Development Goals)が掲げられ、あらゆる取り組みで世界的に意識されるようになりました。
サステナブルなオフィスとは、地球環境への負荷を最小限に抑えながら、従業員の健康と生産性を向上させる持続可能なワークスペースのことです。地球環境に配慮しつつ、企業の成長と従業員のウェルビーイングを両立させることを目指しています。
※ウェルビーイング(Well-being)とは:世界保健機構(WHO)は「個人や社会のよい状態」と定義しています。身体的・精神的・社会的にも良好な状態を表す言葉です。
SDGsとオフィス移転の関連性
オフィス移転は、国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献するチャンスです。特に「目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「目標12:つくる責任 つかう責任」などと密接に関連しています。サステナブルなオフィス移転を通じて、企業はSDGsへの取り組みを具体化し、社会的責任を果たすことができます。
オフィス移転におけるサステナビリティの重要性
オフィス移転は企業にとってサステナビリティを実践する絶好の機会です。従来のオフィス移転では、多額の費用をかけて内装工事を行い、退去時には全てを廃棄することが多かったため、資源の効率的な利用という観点から、見直しが求められています。サステナブルなオフィス移転では、環境負荷の低減、コスト削減、従業員の満足度向上など、多面的なメリットが期待できます。
2. サステナブルなオフィス移転の具体的な取り組み
どういった取り組みを行えば、サステナブルなオフィス移転を実現できるのでしょうか。ここからは5つの具体的な取り組み案をご紹介します。
使えるものは再利用する
既存の家具や設備を可能な限り再利用することで、廃棄物を減らし、新しい家具を購入するよりコストを抑えることができます。まだ使える家具であれば塗装の塗りなおしやクリーニングなどをして再利用しましょう。
居抜きオフィスを選ぶ
前の入居者が使用していた内装や設備をそのまま利用できる居抜きオフィスを選ぶことで、新たな内装工事を最小限に抑えられます。これにより、資源の無駄遣いを防ぎ、移転コストも大幅に削減できます。
内装工事の削減
新しいオフィススペースの既存の構造を最大限に活用し、内装工事を最小限に抑えましょう。既存の壁や床、天井などを利用すれば、新たな建材の使用を大幅に削減できます。クリーニングや軽微な補修を行ったり、壁や天井を塗装し直したりするだけで、刷新された印象を与えることができます。
自然光を利用する
大きな窓やガラス張りの壁があれば、自然光を最大限に取り入れるレイアウトを考えましょう。照明の使用が最低限で済むため、入居後のエネルギー消費を削減できます。
再生素材でできた製品や認証を取得した製品を選ぶ
オフィスの内装や家具に再生素材を使用することで、新しい資源の消費を抑えることができます。サステナブルにつながる製品には主に以下の二つがあります。
①再生素材でできた製品を選ぶ
再生素材とは、廃棄される予定であった製品などをリサイクル処理することで、再度素材として使えるようにしたものです。再生プラスチック・再生紙・再生繊維などが代表例です。これらの素材を使用することで、原料となる資源の枯渇防止に貢献できます。
②認証を取得した製品を選ぶ
FSC認証(森林認証制度)など、第三者機関に認証された製品を選ぶことも環境への配慮につながります。FSC認証の製品は、適切に管理された森林から得られる木材製品であることが保証されています。
※FSC認証とは、適切な森林管理が行われている森林であることや、そういった森林からつくられた木材・木材製品であることを認証する制度です。NPOであるFSC(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)が運営する国際的な制度です。
[参照]https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/a04_14.html
サステナブルなビルを選ぶ
LEED認証やCASBEE認証などの環境認証を取得したビルを選ぶことで、エネルギー効率の高いオフィス環境を実現できます。
*LEED認証とは、アメリカの非営利団体USGBCが運営しているグリーンビルディングの認証プログラムのことです。
*CASBEE認証は、一般社団法人日本サステナブル建築協会が研究開発を行い、一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターが運営している、環境性能を総合的に評価するための評価ツールのことです。
3. サステナブルなオフィス移転がもたらす長期的メリット
企業価値と競争力の向上
サステナブルなオフィス移転は、企業の環境への取り組みを可視化し、投資家や顧客からの評価を高めることにつながります。長期的には企業価値の向上と競争力の強化が期待できます。
従業員満足度の向上
企業の環境への取り組みに共感することで、従業員のエンゲージメントが向上する可能性があり、長期的に見ても企業にプラスの影響をもたらす取り組みになるでしょう。
博報堂が2024年8月に公開した「生活者のサステナブル購買行動調査2024」では、「SDGs」の年代別認知率は10代(16~19歳)が74.4%で最も高く、10~20代の約5割が「環境や社会のために寄付される商品を買う」と回答するなど、若年層の環境課題への意識の高さが報告されています。環境への取り組みは、企業の今後を支える若者のエンゲージメント向上にも寄与する可能性があるでしょう。
環境負荷の軽減
内装工事の削減や再生素材の利用などを行うことで、環境負荷を抑えることができます。なるべく資源を再利用し、廃棄物を減らすようにしましょう。
コスト削減
新規で購入する家具や備品を減らしたり、なるべく工事が少なくて済むようにしたりすることで、環境負荷を軽減するだけでなく、オフィス移転にかかる費用を減らすことができます。
4. よくある質問と回答
小規模企業でも実施可能な取り組みは?
小規模企業でも、ペーパーレス化の推進、テレワークの導入、既存家具の再利用など、様々な取り組みが可能です。コストをかけずに始められる施策から順に取り組んでいくことをおすすめします。
既存のオフィスをサステナブル化する方法は?
既存のオフィスでも、LED照明への変更やリサイクルボックスの設置など、さまざまな方法でサステナブル化を進めることができます。段階的に取り組みを増やしていくことで、持続可能なオフィス環境を実現できます。
まとめ
サステナブルなオフィス移転は、環境への配慮と企業の成長を両立させる重要な取り組みです。具体的な施策を一つずつ実践していくことで、長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献することができます。
オフィス移転に際しては、各種手続きなど多くのタスクが伴います。抜け漏れなくプロジェクトを進行するにはチェックリストの活用がおすすめです。下記のリンクからダウンロードして、随時チェックしながらオフィス移転をスムーズに進めていきましょう。
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移転Biz編集室
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