オフィス移転時に出た不用品の廃棄方法は?費用や注意点まで徹底解説
「オフィスで不要になった廃棄物はどうやって処理したらいいの…?」
「どこに処分の依頼をしたらいいかわからない」
オフィス移転の際に、不用品の処理方法に困っている方は多いのではないでしょうか。オフィスから出た不用品は、種類ごとに処分方法が異なり、ルールが複雑です。
当記事では、オフィス移転時に出た不用品の種類別の処分方法を解説します。さらに、大まかな費用や5つの注意点まで解説しているため、処分方法に困っている方はぜひ参考にしてください。
目次
オフィス移転の前に確認!不用品の廃棄に関する概要
不用品の廃棄方法に関して把握する前に、基本的な不用品の2つの分類や廃棄に関する法で定められたルールを解説します。
不用品は2つの種類に分類される
不用品は、「産業廃棄物」と「事業系一般廃棄物」の2種類に分けられます。それぞれの分類に関してどのような不用品が該当するのか確認しましょう。
産業廃棄物の分類
産業廃棄物は以下の20種類に分けられます。
産業廃棄物の20分類 | あらゆる事業活動に伴うもの:燃え殻/汚泥/廃油/廃酸/廃アルカリ/廃プラスチック類/ゴムくず/金属くず/ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず/鉱さい/がれき類/ばいじん 排出する業種等が限定されるもの:紙くず/木くず/繊維くず/動植物性残さ/動物系固形不要物/動物のふん尿/動物の死体 その他:廃棄物を処分するために処理したもの |
産業廃棄物の例 | キャビネット/デスク/椅子/ロッカー/カーテン/ブラインド/カーペット/照明器具/傘立て/電話機/シュレッダー |
オフィスから出た木製の家具を除くほとんどの不用品は、産業廃棄物に該当します。
事業系一般廃棄物の分類
事業系一般廃棄物は、会社が事業活動によって排出された廃棄物のうち、産業廃棄物以外の不用品が該当します。オフィス移転時に出てくる不用品は以下の通りです。
事業系一般廃棄物の例 | 伝票や書類、コピー用紙/生ごみ/木くず/シュレッダーからでた紙くず/段ボール/チラシ/バインダー/ファイル |
廃棄に関する法的規制について
オフィス移転する際は、事業者が責任を持って正しい方法で処理しなければなりません。法的規則に関しては、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」にて詳しく定められています。
廃棄物処理法に違反した場合は、罰金や懲役刑などの厳しい処分を求められることもあります。違反内容や程度によって罰則が異なるため、法的規制を遵守しながら適切な処理をすることが大切です。
オフィス移転時に出た不用品の4つの廃棄方法
オフィス移転時に出た不用品の廃棄方法は以下の通りです。
- 廃棄方法①専門の指定事業者に依頼する
- 廃棄方法②自治体に回収を依頼する
- 廃棄方法③クリーンセンターなどの処理施設へ自社運搬する
- 廃棄方法④リサイクル業者へ買い取りを依頼する
廃棄方法①専門の指定事業者に依頼する
産業廃棄物の処理をしたことがない方は、専門的な知識を持った業者に依頼するのがおすすめです。
ほとんどのオフィスで出た不用品は、産業廃棄物として分けられます。しかし、事業系一般廃棄物に分類されるバインダーなどは、材質によって産業廃棄物として分類されるため判断が難しいケースがあります。そのため、専門知識のある業者に依頼する方がスムーズに処理できるでしょう。
一般廃棄物は各自治体から「一般廃棄物収集運搬業」の許可を受けた事業者へ依頼します。一方で産業廃棄物は、都道府県知事から「産業廃棄物収集運搬業」の許可を受けた事業所へ依頼しましょう。
中には、運搬の許可を受けていない悪徳な業者もあり、知らずに依頼すると、不法投棄される可能性があります。
安全な業者へ依頼するためには、環境省のHPにある「さんぱいくん」から、優良認定業者に認定された産業廃棄物の業者を選ぶのがよいでしょう。
事業系一般廃棄物に関しては、各自治体のHPで一般廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者が紹介されているため、ぜひ参考にしてください。
廃棄方法②自治体に回収を依頼する
事業系の廃棄物は自己処理が原則ですが、「少量排出事業者登録」の制度で自治体に収集してもらえる場合があります。
すべての自治体が回収しているわけではないため、オフィスがある市町村の自治体へ問い合わせをして確認してください。
依頼する場合は、申請手続きをして、廃棄物の分別と指定された場所への運搬をすべて自分達で行わなければなりません。もし、リサイクルできそうな資源が混ざっていた場合は回収してもらえない可能性もあるため廃棄物の分別には注意が必要です。
廃棄物の種類によっては、分別方法が複雑になることから、最初から専門の業者に依頼する方がスムーズに処理が進むでしょう。
廃棄方法③クリーンセンターなどの処理施設へ自社運搬する
クリーンセンターなどの処理施設へ自ら廃棄物を運搬する方法もあります。この場合は、不燃ごみ、可燃ごみなどに分別した上で持ち込む必要があります。
場所によっては、不用品の種類によって搬入時間や曜日が異なる場合もあるため事前に調べて持ち込みましょう。
不用品を持ち込むことで無料廃棄してもらえると思い込みがちですが、廃棄物の量によって料金が発生します。廃棄物の内容によっては持ち込み不可のものもあるため、すべて一括で処分したい場合は、回収業者に一度に処理してもらう方が得策です。
廃棄方法④リサイクル業者へ買い取りを依頼する
オフィス移転で出た不用品の中にまだ使えそうなものなどがあれば、リサイクルとして業者に買い取ってもらうのも一つの手です。
不用品を買い取ってもらうことで、処分費用を削減できるだけでなく、得た利益を新しいオフィスの資金に充てられます。
しかし、すべての不用品を買い取ってもらえるわけではありません。以下の見出しでは、不用品をリサイクルに回す査定基準を説明します。
リサイクルの対象になる品目の選定基準
リサイクルに出す場合は、以下の点を目安に選定しましょう。
- 傷や汚れがないか
- 付属品やパーツが欠けていないか
- 使用年数が5年以上経過していないか
- 中古市場でのニーズがあるか
上記に当てはまる場合は、買い取ってもらえないケースがあります。お店によっては、HPなどに買い取り実績や目安の買い取り価格が掲載されているため事前に確認しておきましょう。
購入時の商品の箱や説明書、品質保証書などの有無は買い取り査定に大きく反映されるため、できるだけ揃えておいた方がよいです。
査定に出す直前には、丁寧に誇りや汚れを落として見た目を綺麗にするだけでも、買い取り査定が上がる可能性があるため、掃除も怠らずに行いましょう。
買い取りと一緒に不用品の処分や片付けまで行ってくれる業者もいるため、一括で丸ごと引き受けてくれる業者を選ぶのもおすすめです。
業者を選ぶ際の大きな注意点として、古物商許可や産業廃棄物、事業系一般廃棄物に関する許可証を有しており、違法な廃棄物回収業者ではないか確認しましょう。
環境省の「オフィス等から発生する使用済製品 リユースのための手引き」にリユース品の引き渡しのマニュアルが詳しく書いてあるので目を通しておくと良いでしょう。
不用品の種類別の廃棄方法
ここでは、不用品の種類ごとの廃棄方法を解説します。項目は以下の通りです。
- 書類などの紙類
- 事務机などのオフィス家具
- プリンターなどのOA機器
- エアコンなどの家電類
- 業務用のパソコン
書類などの紙類
書類などの紙類は、新聞紙やトイレットペーパーなどに生まれ変わるため、リサイクルとして出しましょう。
基本的に、リサイクルとして資源化できる紙類は処理施設へ運搬しても処理してもらえません。リサイクル業者や一般廃棄物の処理業者に依頼し、品目ごとに分別する必要があります。
しかし、紙類の中には顧客情報や内部情報などが記載されていることもあるでしょう。処分時に情報漏洩の危険性もあるため、社外秘の資料を安全にリサイクルできる「溶解処理サービス」を提供する業者を探すことが大切です。
溶解処理とは、機密文書を未開封のまま箱ごと繊維になるまで溶解することです。溶解してもすべてリサイクルとしてトイレットペーパーなどに生まれ変わるため、無駄なく処理できます。
「ヤマト運輸」「大塚商会」「日本郵便」などの大手企業が提供しているサービスを選べば、情報漏洩の心配はせずに済むでしょう。
事務机などのオフィス家具
オフィス家具は基本的に事業系の廃棄物として処理します。
しかし、オフィス家具の材質によっては、分類が異なるケースがあるため注意が必要です。例えば、木製家具は事業系一般廃棄物としての扱いになります。一方で、金属製やプラスチックの家具は産業廃棄物に分類されます。
オフィスのある地域の自治体によって、廃棄物の分類や処分方法が異なるケースもあるため、HPなどで事前に確認が必要です。
プリンターなどのOA機器
電話やパソコン、プリンターなどのOA機器は、事業系の廃棄物として処理します。OA機器は、オフィス家電のように自治体に処分してもらえないため、専門の回収業者へ依頼する必要があります。
OA機器は、企業の内部情報などのデータが残っているため、情報漏洩を防止するために処分前にデータを削除しなければなりません。
情報を確実に削除したのか不安にならないためにも、クライアント立ち会いのもとデータの削除を実行し、削除証明の書面を提供する業者を選定しましょう。
エアコンなどの家電類
エアコンなどの家電は、家庭用と業務用の家電によって処分方法が異なります。家庭用の家電は、「家電リサイクル法」に基づき処分します。家電リサイクル法とは、家電に使われている材料や部品を再利用し、廃棄物の減量を促進するための法律です。
一方で、業務用のエアコンや冷蔵庫などは、家電リサイクル法には該当しません。有害なフロンガスの排出を抑制する方法で処理するには、産業廃棄物処理業者に依頼する必要があります。
オフィス内で家電製品を廃棄する場合は、家庭用と業務用に分けて処分しましょう。
業務用のパソコン
業務用パソコンには、「資源有効利用促進法」が定められており、メーカーによってパソコンの回収とリサイクルをする義務があります。
メーカーではなく、専門の業者に依頼することも可能ですが、キーボードやマウスなどの周辺機器を回収してもらえないこともあります。
業者に依頼する場合は、周辺機器の回収も対応しているのか確認しましょう。パソコンに顧客情報や内部情報などの情報が含まれている場合は、データ削除まで完全に行う業者へ依頼することをおすすめします。
不用品の廃棄にかかる費用について
ここでは、オフィス移転で出た不用品の廃棄にかかる費用を項目ごとに解説していきます。項目は以下の通りです。
- 車両を運用する費用
- 運搬作業にかかる人件費
- 養成費
- 不用品の種類ごとの廃棄費用
車両を運用する費用
業者に不用品の運搬を依頼する場合、トラック1台から料金が発生します。料金の目安として2トントラックだと、15,000〜30,000円、4トントラックは25,000〜40,000円程度です。
しかし、2トントラックにもさまざまな種類があります。
2トンのトラックなどは、屋根があるアルミバンのトラックや、屋根がない平ボディ型のトラックがあります。
「格安で荷物積み放題!」と謳っている業者は、あまり荷物を積み込めない平ボディのショートトラックタイプの可能性もあります。
アルミバンのショートだと、屋根がついており横からも荷物を支えてくれるため荷物を隙間なく積み込むことが可能です。そのため、同じ2トンのトラックであっても形状によって積み込める荷物の量も異なります。
業者へ依頼する場合は「どのタイプのトラックなのか」をしっかり確認するようにしましょう。
運搬作業にかかる人件費
廃棄物の運搬作業にかかる一人当たりの人件費は、おおよそ10,000〜20,000円ほどかかってきます。廃棄物が多い場合は人手も増えるため、人件費で費用がかさばることもあるでしょう。また、運搬だけでなく梱包や分別作業なども含まれる場合は高くなることもあります。
事前に不用品の整理や処分量を減らしておき、可能な限り従業員も作業に参加することで人件費を削減できるでしょう。
養成費
養成費とは、荷物を運搬する際に入口やエレベーターなどの壁を傷つけないようにするために専用のシートなどで保護する作業を指します。
カバーする場所の範囲によって費用は異なりますが、おおよそ1,000円前後ほどはかかってくるでしょう。
不用品の種類ごとの廃棄費用
以下は不用品の種類ごとの目安の廃棄費用です。
種類 | 費用 |
---|---|
イス | 2,000円〜 |
デスク | 4,000円〜 |
プリンター | 3,000円〜 |
パーテーション | 3,000円〜 |
ソファー | 6,000円〜 |
エアコン | 3,500円〜 |
冷蔵庫 | 8,000円〜 |
テレビ | 5,000円〜 |
家具の大きさや重さ、種類などで料金は異なるため注意してください。
オフィス移転時の不用品廃棄に関する5つの注意点
- 事業内容によって廃棄方法が異なる
- 野外焼却は禁止されている
- 信用できる依頼業者か確認する
- 複数の業者に見積もりを依頼する
- 会社の機密情報が漏洩しないように注意する
事業内容によって廃棄方法が異なる
オフィス移転に伴う廃棄物の処理方法は、事業内容によって異なるため注意が必要です。
例えば、書類や伝票などの紙は事業系一般廃棄物として扱われますが、紙加工品製造業や印刷業、出版業などの特定の事業活動で発生した紙などは産業廃棄物として産業廃棄物処理の業者に処理を依頼する必要があります。
自社が展開する事業内容に合わせて適切に処理するためには、事前にオフィスのある市町村の自治体に問い合わせて確認することが望ましいです。
野外焼却は禁止されている
事業系の廃棄物は、野外焼却は認められておらず、廃棄物処理法の第16条の2によって禁止されています。
違反した場合は、5年以下の懲役もしくは、1,000万円以下の罰金、または両方が科せられる可能性があります。
しかし、自治体によって廃棄物が少量であることや、生活環境に影響を与えないと判断された場合、野外焼却が許可される場合もあるそうです。該当の自治体へ連絡し、野外焼却ができる環境であるか確認しましょう。
信用できる依頼業者か確認する
オフィス移転ででた廃棄物は、許可証を持った信頼できる業者へ処分を依頼しましょう。業者へ依頼する場合は、「マニフェスト」を必ず発行してもらうことを忘れてはいけません。
マニフェストとは、処理を依頼した不用品が適切に処理されたことを証明する書面です。マニフェストは、業者が不用品を不法投棄しないように未然に防ぐために作られた制度です。
廃棄物の最終処分が完了するまでは、廃棄物の責任者は依頼側と業者側双方に責任があるため、トラブルを起こさないために、国から許可を得ている企業を選びましょう。
もし、国から産業廃棄物収集運搬業の許可をもらっていない業者に廃棄を依頼した場合、事業者側が責任を負わなくてはなりません。依頼する前に、処理する廃棄物に応じた許可証を取得しているか確認しましょう。
複数の業者に見積もりを依頼する
複数の処理業者に見積もりを依頼し、適正価格であるかを調べた方が得策です。業者によっては、「トラック一台分」「1つあたり◯◯円」など、価格設定が異なるからです。
しかし、価格が安いからと言ってすぐに業者に依頼するのではなく、口コミでの評価なども参考に、サービス面にも目を向けてみましょう。
会社の機密情報が漏洩しないように注意する
パソコンなどを処分する際は、会社の情報や顧客情報が入っているOA機器の取り扱いには十分に注意しましょう。
パソコン内の情報を必ず削除してもらえる業者を選ぶことが大切です。悪徳な業者の場合、削除されないまま、情報が流出したり転売したりする可能性も考えられます。
そうなった場合、会社の信用問題にも関与してくるため、多少高い金額を払ってでも確実にデータを処理してくれる企業へ依頼しましょう。
(まとめ)オフィス移転で出た不用品は正しい廃棄方法で処理しよう
オフィス移転ででた廃棄物は、「産業廃棄物」と「事業系一般廃棄物」の2種類に分けられます。
オフィスから出た不用品は産業廃棄物に分類されますが、不用品の材質によっては、事業系一般廃棄物に該当する場合もあります。不用品の種類によって、それぞれ専門の許可を得た業者に依頼することが大切です。依頼した場合は、最終処分まで行ったことを証明する「マニフェスト」を発行してもらってください。
不用品の中でまだ使えそうな不用品はリサイクルを検討し、業者へ査定を依頼しましょう。リサイクルの業者へ依頼する場合は、買い取りと一緒に不用品の処分や片付けまで、丸ごと引き受けてくれる業者を選ぶのもおすすめです。
不用品の種類によって廃棄方法は異なるため、ルールに従い正しい方法で処分しましょう。
オフィス移転は不用品の廃棄だけでなく、様々な業務が発生します。オフィス移転を成功に導くには計画的に準備を進めることが重要です。
抜け漏れなくタスクを実施していくために、チェックリストを活用して移転業務を進めていきましょう。
\ この記事を書いた人! /
移転Biz編集室
こんにちは、移転Biz編集室です! オフィス移転の際に役立つ情報をお届けします。