オフィス移転で必要なRFPとは?コンペ開催成功の3つのコツを紹介

オフィス移転時にRFP(提案依頼書)を作成することでオフィス移転に必要な目的や条件などが明確になり自社にとって最適な業者選びが可能です。本記事ではRFPを作成するメリットやコツを詳しく解説します。
目次
オフィス移転に必要なRFP(提案依頼書)とは?

オフィス移転におけるRFP(提案依頼書)とは、移転に関する具体的な情報や要件をまとめ、複数の業者に対して提案を依頼するための文書です。
RFPには、以下のことを詳細に記載します。
- 移転の目的や移転先の条件
- 必要な作業スペース
- オフィス家具・設備の要件
このRFPを作成することで、オフィス移転の方向性がより明確になり、業者間での公平な比較が可能です。さらに、適切なRFPを用意することで、スムーズな移転計画の実行やコスト削減、スケジュールの最適化が実現しやすくなります。
RFPとはコンペティション実施の前提となる文書
RFPは、「Request for Proposal(提案依頼書)」の略で、オフィス移転の際に内装デザインやレイアウトを決めるために重要な文書です。コンペ(コンペティション)を通して複数の業者から提案を受ける際、オフィス移転の目的や要件が不明確では、業者の公正な比較や評価が難しくなります。RFPを通じて、オフィスの移転計画を明確に伝え、業者ごとの提案の質を見極めることができます。
また、RFPを事前に準備しておくことで、業者選定のプロセスがスムーズになり、移転スケジュールの遅延を未然に防げます。適切なRFPの作成は、最適な業者を見つけるためには重要なプロセスです。
オフィス移転におけるRFPの重要性
オフィス移転を成功させるためには、RFPの作成が重要です。RFPがしっかりと作成されていれば、移転に関する要件や条件が明確になり、業者とのコミュニケーションのズレを防げます。
複数の業者からの提案を比較する際にも、RFPを基準に評価を行うことで、自社に最適な業者を選定しやすいでしょう。
オフィス移転時でRFP(提案依頼書)を作成する5つのメリット

ここでは、オフィス移転時にRFPを作成する5つのメリットを詳しく解説します。
- オフィス移転の目的が明確化でき円滑に進められる
- 関係者とのトラブルを回避できる
- 業者を選定しやすくなる
- 関係者との共通認識により合意を得られやすくなる
- 予算やスケジュールを見直せる
1.オフィス移転の目的が明確化でき円滑に進められる
RFPを作成することで、オフィス移転の目的や具体的な要件を整理でき、計画がスムーズに進行します。事前に必要なスペースや設備、移転後の業務フローを明確にしておくことで、作業が効率化され、関係者間の認識のズレを防げるでしょう。
また、業者に対して明確な要件を伝えられるため、トラブルを減らし、スムーズな移転を実現しやすくなります。
2.関係者とのトラブルを回避できる
オフィス移転には、デザイン会社や内装工事会社など多くの関係者が関わります。RFPを作成することで、移転に関する各種条件などが明確になり、誤解や認識の曖昧さを防げます。また、事前にトラブルが起こりそうなポイントを洗い出して対策ができるため、オフィス移転をスムーズに進めることが可能です。
3.業者を選定しやすくなる
RFPを作成することで、提案内容などが比較しやすくなり、業者選定が効率的に行えます。RFPに具体的な要件を記載することで、各業者の対応力やコストを評価しやすくなり、自社に最適なパートナーを選定できるメリットがあります。また、業者選定時の判断基準が統一されるため、客観的な評価が可能です。
4.関係者との共通認識により合意を得られやすくなる
オフィス移転は、社内外の多くの関係者と連携をしながら進めていくプロジェクトになります。RFPがあることで、移転の目的やスケジュール、必要な条件を関係者間で共有しやすくなり、共通認識のもとプロジェクトを実行できます。また、事前にオフィス移転の方向性を明確にしておくことで、合意がスムーズになり、移転の進行を妨げる要因を減らせるでしょう。
5.予算やスケジュールを見直せる
RFPは、オフィス移転にかかる費用やスケジュールを詳細に記載します。例えば、業者からの見積もりと照らし合わせていく中で、「内装工事費が○円高い」といった差異に気づき、予算の適正化ができるようになります。また、移転の進行状況を確認しながら、必要に応じて調整を行うことで、予算オーバーやスケジュールの遅延を防げるでしょう。
コンペに必須!RFPを作成する前の事前準備

コンペを成功させ、自社に合った業者を選ぶためには、RFP(提案依頼書)の作成前に事前準備を行いましょう。ここでは、RFPを作成する前に行うべき重要な準備について詳しく解説します。
- オフィス移転やリフォームの目的を明確にする
- 上限予算を確認しておく
- 詳細にスケジュールを立てる
- メンバー間で役割を明確にしておく
- 業務上で必要な設備を把握しておく
- オフィス内の図面や契約書を準備する
オフィス移転やリフォームの目的を明確にする
RFPを作成する前に、オフィス移転やリフォームの目的を明確にすることが重要です。目的が不明確だと、企業の業務ニーズに合わない環境が整備され、業務効率が低下する可能性があります。
- 目標:企業ブランディングの強化
→採用力の強化、環境に配慮したSDGsへの対応など
- 目標:事業成長への対応
→従業員の増員によるスペースの拡大、新規事業展開による専用施設の設置など
- 目標:従業員の働き方改革・福利厚生の向上
→カフェテリアやリフレッシュスペースの充実など
上記のように具体的な目標を設定することで、適切な提案を受けやすくなります。
上限予算を確認しておく
予算の上限を明確にしておくことで、実現可能なプランを提案してもらいやすくなります。RFPに細かい予算を記載することで、無理のない提案を受けることができ、費用面でのトラブルを防げます。また、後から「実は必要のない工事だった」という機能や設備への投資が発生し、予算が圧迫されるリスクも防げるでしょう。
詳細にスケジュールを立てる
コンペの進行が遅れないよう、事前に具体的なスケジュールを決めておくことが大切です。オフィス移転は企業の規模にもよりますが、6ヶ月以上を想定しておくと良いでしょう。必要な工程の期限をそれぞれ明確にし、無理のないスケジュールを組むことで、計画通りに進めやすくなります。
メンバー間で役割を明確にしておく
RFPの作成やコンペの進行には、多くの関係者が関わります。誰がどの業務を担当するのかを明確にしておくことで、スムーズな情報共有と意思決定が可能になります。また、各メンバーの責任範囲と権限を明確化しておき、プロジェクト全体で共有しておくことも重要です。
業務上に必要な設備を把握しておく
オフィス移転後に必要となる設備を事前にリストアップしておくことで、適切なデザインやレイアウトを提案してもらいやすくなります。特にIT機器や会議室のレイアウトなどは、業務に直結するため慎重に検討する必要があります。
オフィス内の図面や契約書を準備する
RFPを作成する際、オフィスの図面や賃貸契約書などの資料を用意しておくと、より具体的な提案を受けられます。特にレイアウト変更を伴う場合、図面があることでスムーズに話を進められます。
オフィス移転RFPに必須の記載項目

オフィス移転をスムーズに進めるためには、RFP(提案依頼書)に必要な項目を適切に記載しましょう。RFPは、移転に関する要件を明確に伝えるための文書であり、業者が適切な提案を行うための指針となります。ここでは、RFPに掲載すべき7つの項目を紹介します。
- プロジェクトの基本情報(目的、スケジュール等)
- 業者への依頼業務内容
- 提案依頼事項
- 評価基準
- 支払いや契約
- オフィス内のレイアウト
- プレゼンテーション時に必要な資料
プロジェクトの基本情報(目的、スケジュール等)
まずは、オフィス移転プロジェクトに関わる全員がみても全体像がわかるように基本情報を書きましょう。
項目 | 内容(例) |
---|---|
オフィス移転の目的 | 業務拡大、新規事業への対応、コスト削減、ブランドイメージの向上、従業員の働きやすさ向上、立地改善、最新設備の導入など |
プロジェクト全体のスケジュール | ・移転計画の開始日 ・物件選定/契約 ・内装工事/設備準備 ・引越し準備/実施 ・移転完了/業務開始 |
主要な関係者とその役割 | ・社内担当者:移転計画の立案・調整、各部署との連携 ・プロジェクトマネージャー:全体進行管理、スケジュール調整、コスト管理 ・IT担当:ネットワーク・システム環境の整備 ・総務担当:オフィスレイアウト、備品・設備管理 ・外部業者(不動産、引越し業者、施工会社):物件選定、内装工事、引越し作業の実施 |
業者への依頼業務内容
業者へ依頼する際に、依頼業務内容も細かく記載しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
業者に依頼する具体的な業務 | 設計、施工、引越しサポート、ネットワーク構築、電気工事、内装工事など、依頼したい業務 |
必要な設備やオフィス什器の設置作業 | デスク、チェア、収納、会議室設備、IT機器(PC、サーバー、電話)、ネットワーク機器の設置など、必要な什器や設備 |
移転後のアフターサービスやメンテナンスの有無 | 移転後のトラブル対応、設備メンテナンス、追加工事の対応可否、保証期間などのアフターサービス要件 |
提案依頼事項
業者が、企業から何を求められているのか全体像が把握できるように、RFPの提案依頼事項を明記しておきましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
提案に含めるべき項目 | ・オフィスのレイアウト、インテリアコンセプト、ブランドイメージに合ったデザイン提案 ・施工費用、設計費用、設備導入費用、什器購入費用など ・移転プロジェクトのスケジュール |
提案の提出フォーマット | 書面(紙媒体)、デジタル形式(PDF、Word、PowerPoint)など、受け付けるフォーマットを指定 |
提案書の提出期限と審査の流れ | 提案書の締切日を明確に記載(例:〇年〇月〇日 17:00まで) |
評価基準
公平な業者選定を実現するために、評価基準を明確に記載しておきましょう。業者にとって、重視すべきポイントを明確に理解できるため、より自社のニーズに合った提案を受けられます。
項目 | 内容 |
---|---|
業者選定時の評価基準 | コスト、実績、提案の具体性、技術力、納期遵守、柔軟な対応力などを総合的に評価する |
技術力や納期遵守の実績 | これまでの施工事例、クライアント実績、納期遅延の有無などを確認し、信頼性を評価する |
コストパフォーマンスや柔軟な対応力 | 提案内容と費用のバランス、追加要望や変更対応の柔軟性、アフターサービスの充実度などを考慮する |
支払いや契約
業者とのトラブルを回避するためにも、特に支払いや契約に関しては細かく掲載することが大切です。
項目 | 内容 |
---|---|
支払いスケジュールと契約形態 | 一括払い、分割払い、着手金・中間金・完了後支払いなどの支払い条件を明記する。支払期日や支払い方法(銀行振込、手形など)も指定する |
契約条件 | キャンセルポリシー(契約解除の条件、違約金の有無)、保証期間(施工・設備の保証内容と期間)、修正対応の可否を明確にする |
契約書に明記すべき重要事項 | 業務範囲、納期、品質基準、アフターサービス、トラブル対応、責任の所在など、契約上の重要ポイントを記載する |
オフィス内のレイアウト
より自社のイメージに近いレイアウトの提案を受けるためにも、必須の設備やスペースは記載しておきましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
必要なオフィススペースの詳細 | 会議室の数・広さ、個人作業スペース、フリーアドレスエリア、休憩スペース、受付エリアなど |
動線計画や快適なオフィス環境のための設計要件 | 社員の移動しやすさ、コミュニケーションの取りやすさ、自然光の活用、換気・空調の工夫など |
セキュリティ対策や収納スペースの配置 | 入退室管理システム、防犯カメラ、施錠設備、書類・備品の収納スペースの配置、データセキュリティ対策など |
プレゼンテーション時に必要な資料
各企業からの提案の比較検討を容易にするために、プレゼンテーションに必要な資料を細かく取り決めておきましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
業者が準備すべきプレゼン資料 | 設計図、3Dモデル、コスト試算表、施工スケジュール、什器リストなど |
具体的な提案内容が分かるデモンストレーションの有無 | 必要に応じて、VRツアー、モックアップ、サンプル什器の展示、過去の施工現場見学など、提案を視覚的に伝えるデモを実施するかなど |
提案内容を補完する追加資料 | 過去の実績、クライアント事例、導入後の効果測定データ、顧客の声、使用する素材や設備のカタログなど |
コンペ成功のカギ!RFPを作成する際の3つのコツ

ここでは、コンペをスムーズに進めるために発注側が押さえておくべき3つのコツを紹介します。
- 自社の業務内容を詳しく明記する
- オフィスデザインのイメージを提示する
- あると嬉しい設備などを追記する
1.自社の業務内容を詳しく明記する
コンペでは、デザインそのものだけでなく、オフィスの機能性や使いやすさも考慮する必要があります。そのため、RFPには自社の業務内容を詳しく記載し、業者がオフィスレイアウトの最適な提案をしやすくすることが重要です。
たとえば、以下の内容です。
- 組織人員構成の詳細
- 業務フローや働き方
- 必要なスペースの詳細(会議室、作業エリア、休憩スペースなど)
上記のような内容を具体的に明記することで、デザインとの整合性が取れたオフィス環境を実現できます。また、日常業務で頻繁に使用する設備についても記載することで、より実用的な設計提案が期待できます。
2.オフィスデザインのイメージを提示する
業者に対し、どのようなオフィスデザインを希望するのかを明確に伝えることも大切です。企業ブランディングに沿ったデザインを実現するために、希望する雰囲気やデザインの方向性を明確にし、具体的な参考資料を用意するとよいでしょう。
「モダンでシンプルなデザイン」や「温かみのあるナチュラルな雰囲気」などのキーワードを使うだけでなく、参考となる画像や過去の事例を添付することで、業者がイメージを共有しやすくなります。さらに、使用したいカラーや素材についても記載しておくと、より統一感のあるデザイン提案が得られるでしょう。
3.あると嬉しい設備などを追記する
RFPには、必須の要件だけでなく、あると便利な設備についても記載しておくとよいでしょう。たとえば、集中して作業ができる個別ブース、従業員がリラックスできるカフェスペース、オープンなミーティングエリアなど、業務効率や働きやすさを向上させるためのアイデアを加えておくことで、より企業の理想とするイメージに近い提案を受けられます。
また、照明や空調設備、遮音性の高いミーティングルームなど、快適なオフィス環境を実現するための設備も考慮するとよいでしょう。これらを明記することで、業者は要件に加え、オフィスの利便性を高める工夫を盛り込んだ提案を行いやすくなります。
(まとめ)REFをしっかりまとめてスムーズなオフィス移転を実現しよう
オフィス移転を成功させるためには、RFP(提案依頼書)をしっかりと作成しましょう。RFPに掲載すべき必要項目をまとめることで、移転の目的や必要な条件が明確になり、業者とのやり取りがスムーズになります。
また、トラブルを防ぎながら、コストやスケジュールの管理もしやすくなるメリットがあります。移転プロジェクトの成功には、準備段階での情報整理が必要です。しっかりとRFPを作成し、円滑なオフィス移転を実現しましょう。
スムーズにオフィス移転を実現・成功させるには、数多くのタスクを抜け漏れなく進めていくことが必要です。オフィス移転のチェックリストを解説した以下の資料もぜひ参考にしてください。
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移転Biz編集室
こんにちは、移転Biz編集室です! オフィス移転の際に役立つ情報をお届けします。